病院で義歯を 歯科医師 木村達哉

 歯科のない一般病院に長期にわたり入院されている患者さんの義歯をっつくりました。ベットサイドで制約はあるものの診療室と同じように義歯を製作することができたので紹介します。(2005年3月)

2005年3月のある日、頚椎骨折で長期入院されている患者さんの)義歯が緩くなってよくかめないとのことで主治医の先生から往診依頼がありました。

患者さんは頚部から下の方が全て麻痺しているのですが頚から上は知覚、運動とも正常です。
ナースステーション。
診察前に主治医の先生や担当の看護婦さんと打ち合わせをする。
歯科の診療内容をあらかじめ説明する。
患者さんの状態をきいてその診療が可能かどうか看護婦さんに確認する。
往診前に患者さんの状態をナースステーションで確認します。

患者さんが使っていた義歯。入院生活をされるようになってから作られた。
この義歯には何度も修理をした痕跡があった。
技工用エンジンと即重レジンを使用して義歯を修理する。
歯根だけが残っている状態の歯もある。
義歯の清掃は看護婦さんヘルパーさんがおこなっている。
清掃状態が良好である。
抜歯をせずに残根上に義歯を製作することにした。
技工用エンジンにコントラアングルハンドピースを着けて残根を削合した。
ベッドサイドの吸引器。
患者さんは気道にカニューレが挿入されている。
看護婦さんに吸引器の使用方法の説明を受けた。
しかし印象材を吸引する力はない。
介護ベッドの操作方法も看護婦さんに教わる。
患者さんは私がベッドを操作することに不安そうだった。
ベッドの操作は看護婦さんにお願いした。
治療中の上顎義歯。
義歯の安定と粘膜の治療のためにテッシュコンデショナーを流した。
右側上下に歯が残っているので下顎が右に偏位する。
咬合器装着。

ベッドサイドでラミテックを使いBTを採る。
次に残存歯の部位は部分トレーを用いて印象をとる。
印象材が付いたままの義歯を預かってくる。病院と私の診療室は車で10分。
私の診療室で石膏を注ぎ作業模型を作る。
ラミテックのBTを用いてマウンテング。
完成した下顎義歯。

残存歯にアイバークラスプをかけている。
患者さんは自力で義歯の脱着ができない。
またクラスプが粘膜に刺さるのを防ぐためクラスプを床で覆っている。
完成した上下義歯。

装着後4回調整にうかがっている。

 義歯の製作にはいろいろな方法があります。これはその一例です。この例では主治医の先生、看護婦さん、介護の人、御家族に助けていただいて大掛かりな器材を持ち込むことなく比較的簡単に病院のベッドサイドで新しい義歯を製作することができました。
 義歯でお困りの入院患者さんはまず入院先の主治医の先生に義歯の治療が受けられるかどうか相談されてみてはいかがでしょうか。[OK]が出たらかかりつけのあるいは近くの歯科医に往診を依頼してみてください。


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