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歯医者なんてこわくない。 歯科医師 木村達哉
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1.小児治療導入プログラム
木村歯科医院における小児治療導入プログラムを紹介いたします。左の画像は、これから歯科治療をはじめるお子さんに診療室の雰囲気になれてもらうための導入プログラムを実施しているところです。お姉ちゃんはかなり慣れていますね。
「歯科治療」と聞いてどんなイメージが浮かびますか?
 まず思い付くのが、「恐い」や「痛い」ではないでしょうか。治療に来るお子さん達のほとんどは、「恐い歯医者さん」に勇気を振り絞ってやってきます。
 しかし、歯科医院の前あるいは診療室まで来ると、歯科医院特有の音や薬品のにおいなどにより、そのありったけの勇気よりも恐怖心のほうがまさってしまうのです。大人でも恐いのですから、生まれて初めて治療にやってくるお子さんや、小さな子が恐いのは当たり前ですよね。
私たちはこれを「練習」と呼んでいます。
 そこで、小さなお子さんには虫歯の治療を始める前にまず小児治療導入プログラムを実施いたします。私たちはこれを「練習」と呼んでいます。
 「練習」は歯科医院の雰囲気に慣れてもらうことから始めます。ちいさな患者さんと院長や私達スタッフとのコミニケーションが上手くとれなければ治療が上手くいくはずがありません。 あいさつやその日の出来事、服装など簡単にお返事の出来ることから話しかけて緊張をほぐしていきます。
「練習」が上手に出来たら褒めてあげましょう。
 医院の雰囲気になれてきたところで今度は次は治療の雰囲気になれてもらいます。どんな事をするのかが分からないのはとても不安ですよね。 そこで治療に使う器具をみせながら、何をするものなのか、どんなふうに使うのか、説明しながら実際にお口の中で動かしてみます。本当に削ったりするわけではないので痛みはありません。
 「練習」が上手に出来たらちょっとオーバーなくらいに褒めてあげましょう。もし、あまり上手に出来なくても出来ないことを責めるのではなく、出来た事柄だけを褒めるようにします。褒められることで自信がつき次回の治療のとき前回よりも頑張れるようになるはずです。
 「練習」のめあすは3回です。しかし、年齢的なことや以前の記憶からどうしても治療が出来ない小さな患者さんもいます。その場合無理に治療するのではなく、3ヶ月ぐらい期間をおくようにしています。小さなお子さんの精神的な成長は3ヶ月ぐらい期間でもすばらしいので有効な方法といえます。
 「練習」のあとでちいさな患者さんに「虫歯の治療は痛くないんだ。」「歯医者なんて恐くない。」と思ってもらえば、あとは簡単なところから徐々に治療を始めます。
「恐い歯医者さん。」にいやいや行くのではなく、「歯医者なんて恐くないよ。」と友達に会いに行くような気持ちで来院していただきたいですね。
 このページは木村歯科医院のシステムマネージャーSatyがつくりました。皆さんのご意見をお待ちしています。


2.木村歯科医院における小児歯科治療導入プログラム「練習」の心理学的背景

 木村歯科医院では初めて治療にこられたお子さんには「治療の練習」と称する小児歯科治療導入プログラムを実施いたします。今後の治療をよりスムースにするためには是非必要で重要なものです。このプログラムの心理学的背景についてご説明いたしましょう。
 子どもが歯科の受診や治療を嫌がる事は日常よく見られます。まずなぜ嫌かっているのかを理解することが重要です。保護者も診療者も協力して子どもの気持ちを理解し子どもに上手に歯科治療を受けてもらい治療を成功に導かなければなりません。
(T)子どもが歯科治療に不協力的行動をとる理由として以下のことが考えられます。
1.低年齢児
 一般に3歳未満の幼児は診療者とのコミニユケーションがとれません。治療に協力的になれなくてもあたりまえです。
2.過去の治療による恐怖や驚愕的経験
 歯科治療に限らず予防接種や内科の診療など子どもには同じことです。入院経験があると歯科治療はかなり困難になると予想されます。
3.保護者の態度
 過保護、放任主義、気をもみすぎるなど親の態度が子どもの適応性や忍耐力を低下させたり不安にしたりすることかあります。
4.診療者の態度
 威圧的、無口な態度は子どもをおびえさせます。また診療室の堅い雰囲気も恐怖となるかも知れません。
5.周囲の人から脅かされている場合
 親兄弟から歯科治療を恐怖の対象として聞かされている。また「悪いことをすると注射をしてもらいますよ。」などと言われていると子どもは歯料治療を罰則と思ってしまいます。
6.発達の遅れ
 言葉や社会性対人関係の発達か十分でない子どもは、年齢相応の協力性か得られません。

(U)小児歯科治療導入プログラム「練習」に隠された行動管理のテクニック
このプログラムを実施しているときはあたかも私たちがお子さんと遊んでいるように見えます。しかし、この遊びのなかに子どもの歯科治療を成功に導く行動管理のテクニックが隠されているのです。木村歯科医院で行われる子どもに対する行動管理の方法にはおもに次のようなものがあります。
1.系統的脱感作法
  この方法の代表としては、Tell−Show−Do(TSD)法があります。歯科用器具を使用する際にまず子どもによく説明します。次にやって見せます。さらに子どもにやらせてみるという方法です。そして最も重要なのは上手にできたところで終わりにしてほめることです。
2.オペラント条件付け
 好ましい行動が出たときは強化因子を与えてその行動を持続させることです。強化因子には賛美の言葉、スキンシップ(頭をなぞる、肩をたたく)、こほうび(おもちゃ、お菓子)などかあります。
犯しやすい過ちは、好ましい行動が出る前に褒美をちらつかせる事です。例えば「今日は上手に出来たらおもちゃ買ってあげるからね。」と言う事です。子どもの気持ちは治療が出来る事よりもおもちゃを手に入れる事に入れ替わってしまいます。さらに治療が上手に出来なかった時は「おもちゃも手に入らない」二重のストレスとなって重く子どもの心を虐待します。
褒美は好ましい行動が出たとき初めて子どもに与える事が重要です。
3.モデリング(模倣学習、観察学習)
 他者(モデル)の行動を観察することで同じような行動を習得できるようにし向けます。モデルには兄や姉のほかたまたま居合わせた子どもである場合もあります。私たちは受診する本人以外の保護者や兄弟の診療室への入室を歓迎いたします。
4.シェーピンク法
 いきなり歯科治療という最終目標を目指すのではなくそれに結び付くようなより確立の容易なものから始めていき次第に目標行動に至らせる方法です。例えば「今日は一人で座れたら終わりにしよう。」とか「今日は上手にうがいが出来たら終わりにしよう。」などです。
 木村歯科医院では以上のようないくつかの方法を組み合わせて子どもの行動管理をします。しかしマニュアルはありません。担当したスタッフとその子どものやり取りの中からその時最良の方法を選択していきます。子どもが集中できる時間は一回約15分ぐらいです。上手に出来たところで終わりにして次の回に繋げて行くのが良いやり方です。 
 初診の日にはどうしても泣きやまないお子さんもいます。このような時は「練習」を中断し治療椅子から降りて別の場所(待合室など)で気持ちを落ち着かせてもらいます。私たちが怖いことや痛いことを無理やりしないとお子さんに信じてもらわなければなりません。

(V)治療「練習」が終わった時の言葉かけ
1)もし虫歯にしなかったら本来必要のないことなのですから治療がうまく出来なかったとしても子どもには責任がありません。治療の「練習」や処置のとき子どもが協力的であったか協力できなかったかとは関係なく終了直後に言葉をかけて子どもとの関係を強くしていきます。保護者のかたも一緒になって子どもを励ましていただきたいですね。
2)木村歯科医院では治療終了後、保護者と子どもに対してその日の内容をわかりやすく説明して必ずほめて終わりにします。不足や疑問があればお申し出下さい。
3)子どもが苦しい思いをした治療であっても歯科医院のスタッフ全員が子どものことを大好きで大切に思っていることを話し納得していただくことが重要と考えています。特に泣いたまま「練習」が終わった時は子どもの気持ちを無視したのではないことを保護者の方からも説明してください。

(ほめることの効用)
 子どもはほめられて自信を持ち相手との信頼関係を築きます。小さなことでもほめられることで気持ちは前向きになります。特に、「強かったね」「きれいになったよ」「上手だったね」などは子どもを勇気づける言葉として治療の途中や終了後に用いると効果的です。

(泣く子どもへの対応)
 3歳末満児では歯科治療のときに泣いても当然です。その事を責めないでください。本来はその子を虫歯にしてしまった保護者が責められるべきです。
幼児が泣く理由として次のような事があげられます。
@母親から離されて知らない人のなかに置かれること
A寝かされてしまうこと
B口腔や顔面に触れられること
Cしてほしくないことをされる不安
D経験したことのない刺激を浴びせられること
E母親が見えないことや助けてくれないこと

 3歳半を過ぎると言葉でのコミュニケーションか可能となり、泣く理由を聞き出すこともできます。「ママがいない」「先生が恐い」「器械が怖い」「注射が痛い」などとそれなりの理由を話します。理由がはっきりしたらその問題を解決するような話をします。「注射が怖い」に対しては「痛くないようにそっとするから心配ないよ。痛くないことを約束するから頑張ってこらん。」といったように納得させてから処置を行います。

(W)
木村歯科医院で強制的な治療を嫌う理由
 古い小児歯科の教科書には強制治療の方法が記載されています。しかし最近その問題点として以下のことかあげられています。
1)子どもに対し心理的傷害を与える可能性があります。
2)以後の治療に悪影響を及ぼす可能性かあります。
3)強制的治療で得られる利益より失うものの方が多いことがあります。
以上のことから木村歯科医院では強制的治療や拘束的処置を行いません。子どもの成長を待ちながら「練習」を続けることで必ず治療ができる子になります。しかし、「練習」が効果があがらないが早急に応急処置が必用なときは笑気吸入鎮静法を用いることもあります。これは小児歯科でしばしば用いられその安全性も確立されています。しかし、効果が安定しないのがこの欠点です。
お子さんが不協力的であるが早急に歯科治療が必要な場合は全身麻酔下での治療を推奨します。私たちは強制的な治療を行うよりも無意識下での治療の方が有益であると考えています。このような時は保護者の方と相談して全身麻酔の設備を備えた歯料医療機関を紹介しています。



 木村歯科医院ではこの小児歯科治療導入プログラム「練習」など子どもの治療に努力をしています。ご家庭では、まずお子さんを虫歯にしない努力をしてください。もし、虫歯になってしまったら治療を成功に導くように保護者の方も私たちと一緒に努力してください。
  どのお子さんもみな保護者の方と同じ気持ちでだっこしたい。木村歯科医院 院長木村達哉



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